裁判傍聴した感想を一言で言うと。

引き返すことはできなかったのか・・?

 
この一言に尽きる気がします。
 
先日、久しぶりに裁判傍聴に行きました。
傍聴したのは、ある詐欺事件。
随分大規模な詐欺のようで、法廷には3人の被告人と1人の証人がいました。
 

事件の概要

傍聴した裁判の概要をざっくり書くと、「不動産詐欺事件」。

「外国のマンションを買いませんか?買ったら大手企業が高値で買い取りますよ」

そう言って、老人から沢山のお金を騙し取ったようです。
 
はい、もちろん高値買い取りなんてしませんし、
外国のマンションなんてそもそも存在しません。
 

法廷では、4時間近く、証人Aさんが話していました。

証人Aさんの話し方はとても穏やかで誠実そうに聞こえます。
だから、Aさんは詐欺を行った会社の取引先などの「単なる証人」かと思っていたら、実はこの詐欺事件の中枢を担っていた人物で、既に服役中とのこと。驚きました。
 
証人は、「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います」と宣誓し、万が一嘘をついた場合は「偽証罪」に問われます。
だから、証人Aさんの発言は全て「真実」であるはず
全て真実だとすると・・・不謹慎かも知れませんが、何だかAさんが可哀想になってしまいました。
 
というのも、
詐欺事件の首謀者は、会社代表のBさんなのですが、証人AさんはBさんを紹介されて詐欺会社(不動産会社)に入社。
その時点で、自分が入社した会社が詐欺をしているなんて全く知らなかったのです。
顧客からの「高値で買い取ってくれると言ったのに、全然買い取ってくれないじゃないか!」というクレームもあったけれど、会社代表Bから「クレームの原因は他社であり、自分達は関係ない」と何度も言われていたとのこと。
実際、Aさんは資金管理や社員と会社トップとの連絡役等の「裏方的」役割であり、老人を騙すグループにいたわけではありません。
だけど、勤務していくうちに、社員が警察に任意同行されたり、顧客からのクレームが増えたり、自分自身に対して訴訟が提起されたりするようになり、さすがに「何か変だ」と思い始めたらしい。

「何か変だ」と思ったら、その時点で会社を辞めることは出来なかったのかな?

証人Aさんは会社では重要ポストに就いていましたし、気付いたときには詐欺のシステムにがっつり組み込まれていたので、「何か変だ」と気がついた時には、もう抜けることが出来なかったのかもしれません。
だけどやっぱり、勇気を持って辞めて欲しかった。
その点が非常に悔やまれます。
だれか相談する相手はいなかったのかな・・・・・

詐欺会社の平社員は、「フツーの不動産会社」に勤務していると思っていた

ちなみに、この詐欺会社、会社規模を拡大するために、ハローワークでも求人を出していたそう。
給与も営業職の人には30万円ほど支払っていたとのこと。
 
ということは、
絶対、何も知らずに働いていた人、いますよね?
自分の夫は不動産会社勤務で月給30万円、日々全国を回って忙しく働いている・・・と思っていたら、実は詐欺会社に勤務していた!!
なんてことが実際に起こるんですよね??
 
正直、他人事とは思えませんでした。
 

まとめ

裁判傍聴に行ったのは数年ぶりだったのですが、裁判長や検察官の被告人や証人に対する態度が紳士的だったのが印象的です。
そりゃ、対人間同士なんだから、礼儀として当然なんだけれど、現実問題として被告人と裁判官の間には歴然とした差があるわけで。。。
だけど、そういう差を全く気にしない穏やかな語り口調だったり「長い時間どうもありがとう、おつかれさま」と証人を労う裁判長の姿勢は何だか考えさせられるものがありました。
 
そして、やはり、自分の働く会社選びは大事だなと。
でもさ、ハローワークや知り合いの紹介で就職したら「詐欺会社」だった・・・としたら、もう何を信じればいいのかわかりませんよね・・・・



余談ですが、証人Aさんは某社員の「給与を上げてほしい」という要望に応えるべく、某社員の仕事内容を見直して、「○○さんはこういう重要な仕事をしていますから、昇給させていいですか」と会社代表に給与アップを打診したりもしていたとのこと。
そういう人間らしい一面を聞いてしまうと、Aさんに紹介された人が「詐欺の首謀者であるBさん」以外の人であったなら、今でもAさんは収監されることなく、普通に社会人として働いていたのではないか・・という気がしてなりません。
 
 

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